「ビロウとアカショウビン」最近、田村一村という画家にとりつかれている。
仕事を終え深夜に帰宅して、何気なくNHKの「日曜美術館」アートの旅スペシャルの再放送を観たのがきっかけだった。
女優のミムラが奄美の田中一村記念美術館を訪れる内容で、画面に一村の「ビロウとアカショウビン」が映し出された瞬間、目が釘ずけになった。
圧倒的な画力、大胆な構図、色彩、今までに見た事もない日本画だった。
今まで花鳥風月を描いた絵にこれほど心を動かされた事は無かった。
最近、日本画を描いてみたいと思っていた矢先の出来事だったので衝撃が激し過ぎた。
「田村一村とは何者か?」
恥ずかしながら、この時まで私は田村一村を知らなかった。
明治41(1908)年、栃木県に生まれる。幼少の頃から画才を発揮し、若くして南画家として知られる。18歳、東京美術学校に入学するが2ヵ月で中退、以後、中央画壇と一線を画し、50歳を過ぎて独り奄美へ移住、紬工場で染色工として働きながら絵を描き続けた。東京、千葉を経て、奄美の地で亜熱帯の鳥や自然を描き日本画の新境地を開いたが、作品を発表することなく69歳の生涯を終えた。(田中一村記念美術館より)画壇に籍を置かず、ひたすら自分が信じる画道だけに生きた異端の画家一村
生前売るための絵は描かず、生活は赤貧を極めたが、悟りを目指す修行僧のようでもあり、子どもの頃祖母から聞いた親鸞のイメージそのままである。
奄美を訪れ、一村の描いた実物の絵を観てみたい、そして一村が見ていた奄美の自然を見てみたいと本気で思っている。
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